ドライ潤滑コーティング

ドライ潤滑コーティングとは二硫化モリブデン、グラファイト、ＰＴＦＥフッ素樹脂（通称テフロン）等の固体潤滑剤や有機無機添加剤を特殊バインダー内に分散させた機能性コーティング被膜です。

ドライ潤滑コーティングのタイプとしては、初期馴染み性を耐焼き付き性を重重視した二硫化モリブデンコーティングと一般に言われるタイプ、低摩擦性と皮膜の残存性に優れる低摩擦コーティングタイプ、高濃度の二硫化モリブデンと硬質バインダー樹脂を組み合わせた耐摩耗タイプがあり摩擦の形態や用途によって最適なコーティングを選定し提供が可能です。

■ 特徴
・特殊バインダーと固体潤滑剤により耐久性の高い被膜を形成し終身潤滑剤として使用可能。
・各種の固体潤滑剤等の働きにより耐摩耗性、低摩擦性に優れる表面状態を形成します。
・無潤滑条件に限らずオイル、グリスの潤滑下では一層の低摩擦性が得られます。
・摺動面に対し、オイル、グリス等が給油ができない箇所または無潤滑領域に対して長期効果を発揮します。
・高荷重下における初期馴染み効果が高く、初期馴染み領域から早期に良好な摺動面を形成する事でメンテナンスフリーを実現します。
・金属に限らずゴム、プラスチックにも処理が可能です。ゴムの摩擦力改善、固着防止が可能です。
・低温域（-100℃）から超高温（800℃）の幅広い領域での焼き付き、カジリを防ぎ摺動性と安定性を付与できます。
・低摩擦性、耐摩耗性と併せ、耐食性も付与できます。
・多様な処理方式。スプレー、ディッピング、ディスペンサー等の処理システムにより単品から量産品まで高品質なコーティング被膜を効率的且つ低コストに提供致します。
・各種添加剤により導電、絶縁等の電気特性を付与する事も可能です。
・低摩擦性により摩擦力を安定させる事で異音防止効果があります。

■ 固体潤滑剤の特性

名称	二硫化モリブデン (MoS2)	グラファイト(C)	ＰＴＦＥフッ素樹脂 (通称テフロン)	窒化ホウ素

耐過重性	784MPA	490MPA	196MPA	400～500MPA
耐熱性	350℃	550℃	300℃	800℃
特徴	層状の結晶構造がせん断される事で低摩擦性を発揮する。特に高過重下の摩擦摩耗低減に優れた効果を発揮する。	層状の結晶構造がせん断される事で低摩擦性を発揮する。導電性、熱伝導性に富み、高音下での潤滑性に優れる。	低摩擦・非粘着性を有する。科学的に非常に安定であり、耐薬品性に優れる。	層状の結晶構造がせん断される事で低摩擦性を発揮する。耐熱性が非常に高く、耐絶縁性熱伝導性に富む。