日本エムティ株式会社 for the next Surface 表面処理の可能性を求めて

ドライ潤滑コーティング 低摩擦・摺動コーティング

硬質樹脂をバインダーとし、また低摩擦性に優れるPTFEフッ素樹脂(通称:テフロン)を含む事で、耐久性と摺動性に優れた皮膜を形成します。同時に二硫化モリブデンMoS2、グラファイトを含んだ製品は、幅広い領域での荷重や摺動、熱にも対応します。オイル使用との併用で、更なる低摩擦、耐摩耗を実現し、低面圧下では永久潤滑を実現します。エンジンピストンスカート、コンプレッサー部品等の低摩擦性、耐摩耗性を要求される部位へのコーティングに実績があります。配合される固体潤滑剤である、フッ素樹脂PTFE、二硫化モリブデン、グラファイトと使い分けは面圧、速度、耐熱性等を考慮して最適な表面処理を選択致します。低速から中速で高荷重の場合は二硫化モリブデンが有効で中速から高速で軽荷重の場合はフッ素樹脂が有効です。

低摩擦・摺動コーティングを行う主な目的は低摩擦性の付与、耐摩耗性の向上、オイル潤滑での更なる低摩擦下によるエネルギーロスの削減等があります。

ピストンスカートへのコーティングでは硬質バインダーであるポリアミドイミドをベースとして個体潤滑剤は二硫化モリブデン、フッ素樹脂を複合しており幅広い運動速度、過重に対応しオイル潤滑下での極限に近い低摩擦性と耐摩耗性を確保しています。これ以外にもレース用エンジンから汎用エンジンまで幅広いピストンスカートへの条件に合わせた対応を致します。

オイルレス潤滑、オイル併用で低摩擦樹脂コーティングによって更なる低摩擦化にご検討ください。

低摩擦コーティングの処理可能な材質はアルミ、銅合金等を含む金属から各種セラミックス、樹脂、各種ゴム(NBR、FKM等)にも処理できますので例えばゴムであればゴムの相手材への貼りつき防止や滑り性を与える事ができます。

コーティング皮膜製品紹介

品名 固体潤滑剤 鉛筆硬度 動摩擦係数μ 静摩擦係数μ 耐熱温度[℃] 特徴
DC2510 PTFE F 0.09 0.15 約200 低摩擦、耐久性に優れる。
DC2610 PTFE 3H 0.08 0.18 約200 耐水性、耐食性に優れる。
DC3712 PTFE
二硫化モリブデ
2H 0.08 0.15 約200 耐摩耗、耐食性に優れる。
DCLB1 PTFE 3H 0.08 0.14 約200 高硬度、低摩擦で美観に優れる。
DC282 PTFE 2H 0.08 0.14 約280 低摩擦、耐摩耗性、非粘着性に優れる。
DC3500 PTFE
二硫化モリブデン
2H 0.08 0.14 約300 低摩擦、高密着、耐熱性に優れる。
DC4650 PTFE
グラファイト
HB 0.08 0.12 約280 耐擦っか性、軽荷重下の耐久性に優れる。
DCMT73 PTFE 3H 約280 軽荷重物との摺動性に優れる。

※二硫化モリブデン
二硫化モリブデンは化学記号MoS2と表記され、1個のモリブデンと2個の硫黄からなる化合物です。層状の結晶構造からなり、それがせん断される事で低い摩擦係数を発揮します。特に高荷重下での摩擦摩耗の低減に硬化を発揮します。耐熱温度は約350℃。

※グラファイト
グラファイトは二硫化モリブデンと同様に層状の結晶構造がせん断される事により低い摩擦係数を示します。二硫化モリブデンと比較して摩擦係数、耐荷重性は劣りますが熱的安定性に優れており、高温下での使用も可能です。耐熱温度は約550℃。熱伝導性、導温性にも優れています。

※PTFE
PTFEとは通称テフロン(デュポン社)といわれるフッ素樹脂の一種。他の高分子材料と比較して、耐熱性、耐薬品性、低摩擦性、電気特性(絶縁)等が優れており、非粘着性等にも効果を発揮し、特に低荷重下での低摩擦性に優れています。耐熱性約300℃。

摩擦摩耗テストデータ(DC3500)

ドライ潤滑コーティング処理した場合及びドライ潤滑コーティングとオイルを併用した場合の摩耗係数・摩耗量をDC3500コーティングにおいて測定した実例。オイルのみに比較してDC3500コーティングの併用でより低摩擦で耐摩耗性が改善されます。

採用例

エンジンピストン、コンプレッサー用べーン、シートベルトパーツ、パワーシートパーツ、等速ジョイント、 給排気系パーツ、ガイドシャフト等