鍛造・プレス金型
大量生産を目的とした鍛造・プレス金型への表面処理では主には耐摩耗性の向上を目的としてＣＶＤコーティング、ＰＶＤコーティング、窒化等の表面硬化処理が無くてはならない技術として定着しています。単純に鍛造加工、プレス加工と言っても加工条件、被加工物形状、被加工物の材質等によって耐摩耗性の向上だけでなく金型の割れ、被加工物の凝着、表面状態の維持等、
金型へのコーティングとして主流であるＰＶＤコーティング、ＤＬＣコーティングは表面硬度が高い（耐摩耗性）、摩擦係数が小さい（低摩擦力）、セラミックの特徴を持つ（耐凝着性がある）等の特徴があり生産性の向上に貢献します。ＰＶＤコーティング、ＤＬＣコーティングには処理装置、成膜物質により多種ありますので加工条件（冷間、熱間等）、被加工材（鉄鋼，アルミ銅等の非鉄、メッキ鋼鈑等）によりコーティング膜の耐熱性、加工材との相性により適切な選定を行う事が重要です。例えば非鉄金属の加工ではアルミやスズ等のメッキ鋼板では水素フリーＤＬＣが有効で、銅の加工では窒化クロムＣｒＮが有効です。また、コーティング膜の選定だけでなく金型の表面状態をピーニング、窒化等を行うことで、より高い性能を得る事も可能です。これはオイル溜まりの形成と共に表面の圧縮応力を増加させる事、表面硬度を上げる事でＤＬＣ等の硬質膜の性能をより向上させることが可能になるためです。
近年、ハイブリッド自動車、電気自動車の普及によりプレス部品の材質もアルミ、銅等の非鉄金属、錫等の軟質金属のメッキされたメッキ鋼鈑が増えており、摩耗性の向上だけでなく、金型への凝着防止も課題となっていますがこれらの問題もPVDコーティング、DLCコーティングで解決する事が可能です。
