DLCコーティング
■ DLCコーティング
低摩擦性に優れた高硬度なカーボン膜。
非鉄金属に対する耐凝着性が高く、アルミや銅、メッキ鋼板等のプレス加工等にも使われます。
DLCコーティングの低摩擦性、低親和性により軟質金属の凝着を防止する事が可能です。
低温で処理できることから、母材の熱影響が少なく、アルミ合金、銅合金等の幅広い材質にもコーティングが可能です。
従来の水素含有DLCと水素フリーDLCのコーティングを選択できます。
水素フリーDLCの特徴として、超薄膜で皮膜硬度、耐熱性が高く油中での摩擦抵抗の低減、摺動性に優れます。
また、水素フリーDLCは超薄膜ですのでプレスパンチの刃先精度の維持が可能で凝着防止と共に品質の向上に繋がります。
<DLCコーティングの特徴>
・低摩擦性に優れる。
・高硬度で耐摩耗性に優れる。
・耐薬品性に優れる。
・化学的安定性が高く他の金属と結合しにくく耐凝着性に優れる。
・常温からの低温コーティングが可能。
・処理方法を選択する事で幅広い性能、膜厚、硬度を選択する事ができる。(下図参照)
・アルミ合金、銅合金にもDLC処理は可能です。例えば樹脂成型でのベリリウム銅等の入子にコーティング行い、耐摩耗性、離型性を得る事が可能です。
*DLCーGP,DLCーXは水素フリータイプDLCコーティングです。
膜種 | 色調 | Hv硬度 | 膜厚[μm] | 耐酸化温度[℃] | 摩擦係数μ | 処理温度[℃] | 処理方式 |
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DLC-S | 2,000〜3,500 | 1〜3 | 300 | 0.15〜0.20 | 約200 | – | |
DLC-I | 2,000〜3,000 | 2〜3 | 350 | 0.1〜0.2 | 200〜250 | スパッタリング法 | |
DLC-G | 3,000 | 1 | 400 | 0.09〜0.13 | 200〜250 | プラズマCVD法 | |
DLC-GP | 7,000 | 0.7 | 550 | 0.09〜0.13 | 150〜200 | アーク法 | |
DLC-X | 4,000〜7,000 | 0.1〜1.0 | 500 | 0.09〜0.15 | 150〜200 | アーク法 |
DLC処理方式による特長
イオン化蒸着法 | スパッタリング法 | プラズマCVD法 | アーク法 | |
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原料 | C6H6ベンゼン | カーボン | CH4メタン | カーボン |
水素含有 | 有 | 有(無も可) | 有 | 無 |
硬さ | 比較的硬質な DLC膜が得られる。 |
比較的硬質な DLC膜が得られる。 |
比較的硬質な DLC膜が得られる。 |
水素フリーで非常に硬い DLC膜が得られる。 |
表面粗さ | 他のDLCと比較して 粗い傾向にある。 |
良好なDLC面が得られる。 | 非常に良好な DLC面が得られる。 |
他のDLCと比較して 粗い傾向にある。 |
耐酸化温度 | ー | 比較的酸化に強い。 | 水素含有量による。 | 水素フリーである事から 耐酸化性に優れる。 |
採用例
非鉄加工用工具(ドリル、リーマー等)、粉末成形金型、搬送ガイドレール、歯科器具、バリカン刃、エンジンピストン、食品包装機械部品、ギァ等の機械部品等